8歳になったばかりの長女が「サンタクロースって、本当にいるの?」と尋ねてきた。「お父さんやお母さんが、寝ている間にプレゼントを置いておくだけだよ」という噂が、学校で流れていたのだそうだ。「良いことをたくさんすれば、サンタさんがプレゼントをくれるよ」という私の言葉を信じ、毎年お手伝いに励み、ささやかなプレゼントをもらってきた長女は、たいへん悩んでいる様子であった。
100年前のアメリカに、同じように悩んだ少女がいた。彼女から投書を受けたニューヨークの新聞社は、社説で次のように答えた。「サンタクロースなんていないというあなたのお友達は、間違っています。疑り屋は、目に見えるものしか信じません。心の狭い人たちです。この広い世界を知るには、大きな深い知恵が必要です。愛や思いやりや真心があるのと同じように、サンタクロースも確かにいます。それどころか、いつまでも死なないでしょう」
サンタクロースは、昔から子供たちの心を育んできた「大きな深い知恵」だ。否定してはならない。私も、この社説をもとに自分なりの説明をした。しかし、長女から思いもよらぬ言葉が返ってきた。「でも、寝たふりをしていた友達が、お父さんがプレゼントを置くところを見たんだって…」
お父さんは機転も利かなくてはならない。私はとっさに答えた。「寝たふりをするなんて、悪いことをしたねえ。だからサンタさんが来なかったんだ。それで、お父さんがかわいそうに思って、プレゼントを置いたんだよ」
長女は納得して、サンタさんからプレゼントをもらうために、再びお手伝いに励んだ。